根管治療
「むし歯が深く進行して、歯の根元がズキズキと激しく痛む」
「過去に治療した歯の歯茎が腫れてきた」
これらの症状は、歯の内部にある根管(こんかん)と呼ばれる神経や血管が通る管に細菌が感染し、炎症を起こしているサインです。
この痛みや腫れは、夜も眠れないほどの激痛となり、患者様の生活の質(QOL)を大きく低下させてしまいます。
すえいし歯科矯正歯科 歯科訪問部では、通院が困難な方のために、根管治療(歯の神経の治療)を訪問先で安全に実施し、痛みの原因を根本から取り除くことを最優先に考えています。
ご自宅や施設にいながら、外来と変わらない専門的な根管治療を受けていただき、患者様ご本人とご家族に苦痛のない穏やかな日常を取り戻すサポートをいたします。
訪問歯科における根管治療の重要な役割
根管治療は、歯の内部に潜む感染を取り除き、歯を長持ちさせるために非常に重要な治療です。
特に訪問診療の現場では、以下の点で決定的な役割を果たします。
痛みの原因を根本から取り除く
激痛の解消
根の先に膿が溜まったり、神経が炎症を起こしたりしている場合、痛みは持続的かつ強烈です。
根管治療は、感染源となっている神経や細菌を取り除き、痛みの原因を根本から解消します。
再発の防止
根管内の感染は、一時的に抗生剤で症状が和らいでも、原因となる細菌が残っている限り再発します。
根管治療によって内部を徹底的に清掃・消毒することが、再発を防ぐ唯一の方法です。
全身の健康とQOLを守る
感染の波及を防ぐ
歯の根の慢性的な感染は、糖尿病や心臓疾患など全身の健康状態に悪影響を及ぼしたり、蜂窩織炎(ほうかしきえん)といった重篤な感染症を引き起こしたりするリスクがあります。
根管治療は、口腔内から全身への感染源を取り除く上で極めて重要です。
大切な「噛み合わせ」の維持
歯を一本でも多く残すことは、新しく作る入れ歯(義歯)の安定性を高め、噛む力を維持する上で非常に重要です。
【重要な見極め】「残す治療」と「抜歯」の判断基準
根管治療の最大の目的は、歯を残すことですが、訪問診療の現場では、「抜歯した方が患者様のQOLと全身の安全性が高まる」と判断する場合もあります。
当院は、患者様の全身状態と将来的な快適性を最優先に、正確な見極めを行います。
当院は、以下のような判断において必ず医科主治医と連携し、患者様ご本人やご家族に、メリットとデメリットを丁寧に説明した上で、最終的な方針を決定します。
歯を残す(根管治療)を選択するケース
抜歯の負担が大きい場合
全身状態が悪く、抜歯という外科処置自体が大きな負担やリスクとなる場合、まずは根管治療によって感染をコントロールし、急な炎症を抑えることを優先します。
構造的な問題がない場合
ポータブルレントゲンで確認し、歯の根が大きく割れていない、または根の周囲の骨の破壊が限定的であるなど、構造的に保存可能と判断できる場合。
義歯の維持に必要な場合
その歯を残すことが、今後作製する入れ歯の土台や安定に不可欠である場合。
抜歯を選択するケース
抜歯が全身の安全につながる場合
グラグラの歯や大きく欠損した歯が、誤嚥のリスクを高める場合や、重度の感染が全身に波及する危険性が非常に高い場合。
保存が困難な場合
歯の根が深く割れている、根の周囲の骨が広範囲に破壊されているなど、根管治療を行っても成功の見込みが極めて低い場合。
治療の負担が大きい場合
根管治療が成功する可能性はあるものの、治療期間が長くなり、患者様の体力や精神的な負担が大きすぎると判断される場合。
その際は、痛みを解消し、次の義歯治療へスムーズに移行できるよう抜歯を選択します。
訪問環境で「安全かつ精密な」根管治療を実現する体制
根管治療は、非常に細い根管内部を扱うため、歯科治療の中でも特に精密さが求められます。
当院では、訪問診療でもこの精密さを担保する体制を整えています。
ポータブル機材による診断と処置
ポータブルレントゲンによる正確な診断
訪問専用のポータブルレントゲンを持参し、治療前に歯の根の状態、感染の範囲、根管の長さなどを正確に診断します。
これにより、来院不要で外来と同水準の診断が可能です。
訪問対応の切削・清掃機器
ポータブルユニットやポータブルエンジンを使用し、根管内の感染した組織を確実に除去し、内部を徹底的に清掃・消毒します。
これにより、根の中の細菌数を最小限に抑えます。
患者様の負担を軽減する安全な対応
痛みを取り除くための迅速な処置
激しい痛みがある場合は、まず麻酔を行い、痛みの原因となっている根管内の圧力を解放するための応急処置を最優先します。
体調に合わせた計画的な治療
根管治療は複数回の訪問が必要になることが一般的ですが、患者様の体調や体力に配慮し、一回の治療時間を無理のない範囲(30分程度)に設定します。
感染管理の徹底
治療器具はすべて滅菌消毒されたものを使用し、第二種歯科感染管理者の指導のもと、訪問先でも外来と同レベルの衛生管理を徹底します。
多職種との連携による安全な治療
全身状態の把握
治療開始前には、医科主治医と連携し、患者様の全身状態や服薬状況(特に抗血栓薬、免疫抑制剤など)を把握します。
全身への配慮
処置中の患者様の体調変化に細心の注意を払い、無理のない安全な治療を心がけます。
体調不良時は速やかに処置を中断し、主治医や看護師と連携して対応します。
訪問診療をご希望の方へ
「通院ができないから」という理由で、夜眠れないほどの歯の痛みや、歯茎の腫れを我慢し続ける必要は一切ありません。
根管治療によって痛みの原因を根本から取り除くことは、患者様ご本人の苦痛を解消し、ご家族に安心感をもたらす、極めて重要な治療です。
私たち、すえいし歯科矯正歯科 歯科訪問部は、最新のポータブル機材と徹底した安全管理体制で、通院困難な患者様の「お口の健康と、穏やかな日常」を守ります。
根管治療に関するご相談は、まずはケアマネジャーさんにご相談いただくか、当院までお気軽にお電話にてご連絡ください。
