チーム医療
専門家集団が連携。チームで「食べる力」を支えます
通院が困難な患者様にとって、歯科医療は単に「歯を治す」こと以上の意味を持ちます。
それは、「食べる」「話す」「笑顔になる」といった、日常生活の質(QOL)を維持する上で欠かせない生命維持の活動そのものです。
すえいし歯科矯正歯科 歯科訪問部では、この大切な「生きる力」を支えるため、歯科医師・歯科衛生士の枠を超えた多職種による専門チーム体制を構築しています。
当院のチームは、嚥下・義歯・口腔ケアの専門家が、ご自宅や施設へお伺いし、柏市の地域包括ケアの一員として、患者様の全身的な健康と、ご家族・介護者の安心をサポートします。
当院のチーム医療を支える「専門職の強み」
当院の訪問診療チームは、各分野で高度な専門性を持つメンバーで構成されています。
この多角的な専門性こそが、外来と同水準の質の高い歯科医療を訪問先で実現する鍵です。
嚥下のプロフェッショナル:摂食嚥下認定医と言語聴覚士(ST)
誤嚥性肺炎の予防と「口から食べる」喜びの維持は、訪問歯科の重要な使命です。
当院では、この分野に特に力を入れています。
摂食嚥下認定医が在籍
当院には摂食嚥下認定医をはじめ、専門的な研修を修了した歯科医師が在籍しています。
嚥下機能の正確な評価(嚥下内視鏡・VEなど)に基づき、誤嚥のリスクを最小限に抑えながら、食べる訓練やリハビリテーションを計画的に実施します。
言語聴覚士(ST)がチームに参画
言語聴覚士(ST)は、「食べる・飲み込む」機能回復の専門家です。
歯科医師とSTが協働することで、口腔内の状態だけでなく、舌や喉の筋肉の動き、食べ物の送り込み方までを総合的に評価し、より効果的な嚥下リハビリを患者様に提供します。
義歯のプロフェッショナル:補綴(ほてつ)専門医
「入れ歯が合わない」「噛めない」という訴えは、低栄養や全身の衰弱に直結します。
補綴歯科学会の専門医
当院の歯科医師は、義歯治療の経験が豊富であり、その知見を活かして、長年、高齢者の難しい義歯調整に携わってきました。
訪問先での即日調整
ポータブルエンジンなどの専用機材を持ち込み、入れ歯の欠損・破損などのトラブルにも訪問先でその場での修理・調整に努めます。
患者様の不便な時間を最小限に抑え、「すぐに噛める状態」を維持します。
口腔ケアのプロフェッショナル:歯科衛生士と感染管理者
口腔内の清潔維持は、全身の健康の基盤です。
経験豊富な歯科衛生士
歯科衛生士が8名在籍しており、高い専門技術をもって、虫歯・歯周病の治療後の定期的な口腔内クリーニングや口腔機能訓練を実施します。
第二種歯科感染管理者
院内には第二種歯科感染管理者の資格を持つスタッフがおり、訪問診療においても感染対策を徹底しています。
滅菌消毒された器具を使用し、患者様とご家族が安心して診療を受けられる環境を整えます。
チーム体制による「安心と安定」の提供
患者様への質の高いケアを持続的に提供するためには、充実したマンパワーと連携のスムーズさが不可欠です。
安定した人員構成と機動性
| 専門職 | 人数 | 役割と貢献 |
|---|---|---|
歯科医師 |
10名 |
嚥下認定医や補綴専門医を含む、治療計画の立案と専門治療の実施。 |
歯科衛生士 |
8名 |
専門的な口腔ケア、口腔機能訓練、ご家族・介護者への指導、感染対策の徹底。 |
言語聴覚士(ST) |
1名 |
嚥下機能の評価と、専門的な摂食嚥下リハビリテーションの実施。 |
歯科助手(DA) |
1名 |
診療補助、器材の準備と衛生管理。 |
事務専門スタッフ |
2名 |
連携窓口の集約、迅速な電話・FAX対応、保険請求・報告書管理の徹底。 |
訪問車 |
2台 |
専門機材の運搬と、広範囲へのスムーズな訪問体制を確立。 |
この充実したチーム体制により、急な体調変化や日程調整にも柔軟に対応し、安定的で継続的な質の高い診療を可能にしています。
多職種連携を支える「事務専門スタッフ」の存在
多職種連携を円滑に進める上で、事務処理のスムーズさは非常に重要です。
当院には専門の事務スタッフが在籍しており、連携の窓口を一元化しています。
迅速なレスポンス
ケアマネジャー様や施設からの電話やFAX、メールでの問い合わせに対し、専門スタッフが一時対応し、当日中に担当者から連絡が入るよう手配します。
正確な書類管理
居宅療養管理指導の報告書や計画書の提出を徹底管理し、記載漏れや提出遅延を防ぎます。
これにより、ケアマネジャー様や施設スタッフ様の業務負担を軽減します。
地域社会に根ざした「連携と信頼」の医療
私たちのチーム医療は、院内や訪問チーム内での連携に留まらず、柏市を中心とした地域全体に開かれた連携を重視しています。
医科・介護専門職との連携
「チームで“食べる力”を支える訪問歯科」として、患者様の全身的な健康をサポートするため、歯科の専門性を活かした情報共有を徹底しています。
医科主治医との連携
全身疾患や服薬状況を把握し、安全な治療を行うため、医科の主治医と密に連携します。
特に手術前後や終末期における口腔ケアの重要性について、情報共有を行います。
ケアマネジャー・施設スタッフとの連携
訪問後の口腔内の状況や嚥下機能の評価結果を、介護現場の視点に立った分かりやすい言葉で報告書にまとめ、ケアプランや日々の介助に活かせるようフィードバックします。
施設のスタッフさんやケアマネさんとのコミュニケーションを大事にすることで、継続的なケアの質を高めます。
自治体・地域包括支援センターとの連携
当院は、柏市の地域包括ケアシステムの一員として、地域社会の健康増進に積極的に貢献しています。
自治体事業への参加
後期高齢者健診など、自治体の行う口腔保健事業に積極的に参加し、地域住民の口腔健康意識の向上と、早期の機能低下発見に貢献しています。
地域包括支援センターとの連携強化
地域包括支援センターと密接に連携し、通院困難な方への適切な歯科医療がスムーズに提供されるよう、情報交換と協力を進めています。
患者様とご家族の心に響く「安心のケア」
私たちの多職種チームが目指すのは、単なる治療の提供ではありません。
苦痛の少ない治療
義歯の調整や治療においても、患者様の苦痛を最小限に抑えることを最優先に考え、温かい声かけと丁寧な応対を徹底します。
誤嚥性肺炎の予防
歯科衛生士による専門的な口腔ケアとSTによるリハビリを通じて、誤嚥性肺炎の予防に貢献し、健康寿命の延伸をサポートします。
「笑顔」と「食べる喜び」の回復
噛めなかった入れ歯が合うようになる、むせが減って食事に集中できる、といった変化を通じて、患者様に再び笑顔を取り戻し、愛するご家族とともに幸せな時間を過ごしていただけるよう努めます。
嚥下・義歯・口腔ケアの専門家が一つのチームとなり、外来と同水準の質の高い歯科医療をご自宅までお届けします。
訪問診療をご希望の方は、まずはケアマネジャー様にご相談いただくか、当院までお気軽にお電話にてご連絡ください。
