誤嚥性肺炎の予防
「最近、食事中にむせることが増えた」
「熱はないのに、なんとなく咳が出る」
「お口の中がネバネバしている」
これらはすべて、誤嚥性肺炎のリスクが高まっているサインかもしれません。
誤嚥性肺炎は、ご高齢の方の命に関わる重篤な病気であり、要介護状態の原因としても深く関わっています。
すえいし歯科矯正歯科 歯科訪問部は、誤嚥性肺炎の予防こそ、訪問歯科診療における最大の使命だと考えています。
当院の摂食嚥下認定医・ST・歯科衛生士がチームとなり、「お口の細菌を減らすケア」と「飲み込む力を鍛えるリハビリ」を連携させることで、ご自宅や施設で、患者様の大切な命と、最期まで「口から食べる」喜びを守るサポートをいたします。
誤嚥性肺炎とは?なぜ歯科の予防が不可欠なのか
誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液などが誤って食道ではなく気管(肺へつながる道)に入り込むこと(誤嚥)で、その中に含まれる細菌が肺で増殖し、炎症を起こす病気です。
ご高齢者にとって誤嚥性肺炎が特に危険な理由
誤嚥性肺炎は、特にご高齢の方にとって極めて危険な病気であり、その脅威は計り知れません。
ご高齢者の死亡原因の上位
統計的に、誤嚥性肺炎は日本人の死亡原因の上位を常に占めています。
一度発症すると、特に体力が低下している方にとっては重症化しやすく、命を落とす危険性が非常に高まります。
サイレント・アスピレーション(不顕性誤嚥)の存在
厄介なことに、ご高齢の方は誤嚥してもむせや咳などの自覚症状が出にくい場合があります。
これをサイレント・アスピレーション(静かな誤嚥)と呼びます。
自覚がないまま細菌が肺に送り込まれ続けるため、気づいたときには重度の肺炎になっているケースも少なくありません。
ADL(日常生活動作)の低下
肺炎の治療のために安静が必要となると、寝たきりの状態が続き、筋力が急激に低下します。
その結果、リハビリを行っても元の生活レベルに戻れず、要介護度が進行する大きな原因となります。v
再発リスクの高さ
一度誤嚥性肺炎を発症した方は、飲み込む力が衰えているため、再発を繰り返すリスクが非常に高く、その度に身体への負担が増大します。
誤嚥性肺炎を防ぐための二大対策
この病気を予防するためには、次の二つの対策を同時に、継続的に行うことが不可欠です。
当院は、この二大対策を、訪問環境で専門的に実施できる体制を整えています。
1. 口腔内細菌を減らす
目的
誤嚥した際、肺に入る細菌の総量を減らすこと(肺炎リスクの低減)。
当院の専門的な役割
専門的な口腔ケア・クリーニングと、ご家族・介護者への衛生指導。
2. 飲み込む力を高める
目的
誤嚥そのものを防ぐため、摂食嚥下機能(飲み込みの機能)を改善・維持すること。
当院の専門的な役割
嚥下内視鏡(VE)による評価と、ST連携によるリハビリテーション。
専門家チームによる「三位一体」の予防アプローチ
当院の誤嚥性肺炎予防は、口腔ケア、嚥下リハビリ、多職種連携の3つの要素が組み合わさって成り立っています。
1. 命を守る「専門的な口腔ケア」とクリーニング
歯科衛生士による専門的なケアは、細菌という「火種」を取り除く、最も基本的な予防策です。
徹底した細菌コントロール
虫歯菌、歯周病菌、そして肺炎の原因菌が潜む歯石やプラーク(歯垢)を、専用の器具と技術で徹底的に除去します。
これにより、誤嚥が発生した際の肺炎発症リスクを大幅に低減します。
粘膜・舌の清掃
歯だけでなく、舌や頬の粘膜に付着した汚れや細菌も、スポンジブラシなどの専門器具で丁寧に清掃し、口腔内全体を衛生的に保ちます。
口腔乾燥対策と保湿
高齢者に多い口腔乾燥(ドライマウス)は、細菌が増殖しやすい環境を作ります。
専門の保湿剤ジェルを用いたケアや、唾液腺マッサージの指導を行い、お口の自浄作用をサポートします。
2. 誤嚥を防ぐ「摂食嚥下リハビリテーション」
飲み込みの力を維持・回復させるリハビリは、誤嚥という行為そのものを防ぐためのアプローチです。
嚥下認定医とSTによる専門評価
当院の摂食嚥下認定医と言語聴覚士(ST)がチームを組み、患者様の現在の嚥下機能を詳細に評価します。
ご自宅で嚥下内視鏡検査(VE)
訪問先に嚥下内視鏡を持ち込み、実際の食事の状況で、食べ物や唾液がどこまで流れ込んでいるか、誤嚥が起きているか、のどの残留物はないかを客観的に確認します。
このデータに基づき、最適なリハビリ計画を立案します。
機能回復訓練
舌の運動、喉の筋肉を鍛える訓練、呼吸と嚥下のタイミングを合わせる訓練など、個別の状態に合わせたリハビリを継続的に実施し、食べる力を維持・改善させます。
3. 多職種と連携した「安全な食環境」の構築
安全な食事は、歯科だけで完結しません。介護や医科との連携が必須です。
飲み込みやすい姿勢の提案
完全側臥位法(寝たままで安全に食事を摂る体位)を含め、嚥下評価に基づき、最も誤嚥しにくい安全な食事中の姿勢を、ご家族や介護職に具体的にアドバイスします。
適切な食形態の提案
嚥下機能のレベルに合わせ、「とろみが必要か」「きざみ食が適切か」など、誤嚥を防ぐための最適な食物形態を、管理栄養士と連携して提案します。
介護職への指導と情報共有
歯科衛生士が、日々の口腔ケアや食事介助で役立つ専門的な知識やテクニックを、分かりやすくご指導します。
口腔内の状態や嚥下機能の変化は、質の高い報告書を通じて速やかに他職種と共有されます。
誤嚥性肺炎の予防に役立つ当院の専門アイテム
当院は、訪問歯科診療で用いる専門的な口腔ケアアイテムを活用し、患者様の衛生環境を支えます。
![]() ハブラシ |
![]() スポンジブラシ |
![]() 保湿剤ジェル |
![]() コンクールジェル |
![]() バイトブロック |
![]() 入れ歯用ブラシ |
![]() 入れ歯安定剤 | ![]() 入れ歯用洗浄剤 |
訪問診療をご希望の方へ
誤嚥性肺炎の予防は、時間との戦いです。むせが増える、食事が進まないといった小さな変化を見逃さず、早期に専門家の介入を受けることが、患者様のその後の人生を大きく左右します。
私たち、すえいし歯科矯正歯科 歯科訪問部は、摂食嚥下認定医とSTの専門性、そして徹底した口腔ケアによって、患者様の命と食べる喜びを守ることに尽力します。ご家族の皆様が安心して、大切な方をサポートできるよう、私たち専門チームが力強くお手伝いいたします。
誤嚥性肺炎の予防、摂食嚥下に関するご相談は、まずはケアマネジャーさんにご相談いただくか、当院までお気軽にお電話にてご連絡ください。








